近年 自然災害における停電被害をよく耳にしませんか?
僕が想定する大規模地震だけではなく、台風や雷、積雪による断線や老朽化に伴う故障、また計画停電など、以前にも増して停電する頻度が高くなっているように思えます。
そんな中でも近年では「ポータブル電源」の進化が目覚ましく、誰でも簡単に入手することが出来るようになってきました。
ポータブル電源は、アウトドアや旅行、災害時などに非常に便利なアイテムです。しかし、市場にはさまざまな種類のポータブル電源があり、どれを選べばよいか迷ってしまうことがあります。以下では、ポータブル電源を選ぶ際の詳しいポイントをいくつか紹介します。
ここでも大事にしたいことは「自分の環境」をしっかりと考えることです。戸建てなのかマンションなのかでも理想のポータブル電源というのは変わってきます。しっかりと自分の置かれている状況を理解して、適切なポータブル電源を選んでみましょう。
ここではあくまで「防災(停電対策)」を基本として紹介していきたいと思います。
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1. 容量と出力
まず容量ですが、基本的に「容量 (Wh)」「本体の大きさ」「価格」はほぼ比例しています。
まずここで理解していただきたいのは容量とはなんなのかというところです。
ちょっとお勉強:記載されている容量の単位の違いについて
ポータブル電源のスペックには必ず ○○[Wh](ワットアワー)という表記がされており、これが「容量」に該当します。
対してスマホを充電するモバイルバッテリーなどでは ○○[mAh](ミリアンペアアワー)という単位で表記されています。
これらはエネルギーの単位で、厳密には異なる種類の測定単位です。
[Wh](ワットアワー)は、1時間に1[W](ワット)の電力を使用した場合に消費されるエネルギー量を表します。例えば、1Wの電力を1時間間使用する場合、その消費されたエネルギーは1[Wh](ワットアワー)に相当します。
1200Wのドライヤーを1時間使用し続けると1200Whとなります。 (1200W×1h= 1200Wh)
[mAh](ミリアンペアアワー)は、バッテリーの容量を表すために使用される単位であり、1時間あたりのミリアンペア(mA)の電流でバッテリーがどれだけの時間動作できるかを示します。たとえば、10,000mAhのバッテリーは、1時間あたり10,000mA(または10A)の電流を流し、1時間間デバイスを動作させることができます。
ちなみにスマホでは本体のバッテリー容量を3000[mAh]などの表記でされています。
モバイルバッテリーも同じ単位を使っているので、購入する側としては分かり易くていいですね。
出力:定格消費電力[W]
ポータブル電源のスペックを見ていると、単位が「W(ワット)」と「Wh(ワットアワー)」の二つの単位がいたるところに記載されています。
試しに僕の持っているEcoFlow社のEFDELTAという製品を例に挙げて説明します。
まず商品説明欄に【高出力1600W・大容量1260Wh】という表記がいきなり出てきました。
まずこの「高出力1600W」というのは、ポータブル電源に接続できる家電全ての消費電力[W]の限界値を意味します。
※これよりも数値が大きくなると過負荷保護機能が働き、一時的に停止します。
これは1つの家電だけの値ではなく、複数の家電をつなげた「合計」の値です。
実物を交えて説明します。
我が家で使っている電気ケトルには100V、770W、50/60Hzと記載がありました。
この場合、ポータブル電源の限界値は1600Wに対し、電気ケトルは770Wなので問題なく使用することができます。
使う電力 出せる出力
定格消費電力 < 定格出力
電気ケトル 770W 1600W
電気ケトルを2台同時に使うとどうでしょうか?
770W + 770W = 1540W この場合も1600W以下ですので問題なく使うことが出来ます。
では電気ケトルとヘアドライヤーを同時に使った場合はどうなるのでしょうか?
770W + 1200W = 1970W これは1600Wを超えているため同時に使うことが出来ません。
※このEcoFlowの製品は特殊な技術が使われており、一時的に限界をオーバーしても使い続けることが出来ます。
これはEcoFlowのみの技術であり、その他の製品には当てはまりません。(だから僕はEcoFlowを使うわけですが、、、)
このように、定格出力[W]というのは、大きい分だけ「色んな家電を使えるよ!」という目安になります。
容量:電力量[Wh]
これは先ほど説明した通り、1時間使用した時の電力の消費量です。
【大容量1260Wh】 この場合はどう捉えればよいでしょうか?
先ほどのヘアドライヤー1200Wを例に計算をしてみると、
1200W×1時間 = 1200Wh となります。
1260Whの容量に対して1200Whを消費するため、60Whほど余る計算になります。
つまり、1200Wのヘアドライヤーは1時間程度使える。ということが言えるわけです。
では770Wの電気ケトルは何時間動かすことが出来るのでしょうか?
以下が計算式になります。
時間(h)= 1260Wh / 770W
時間(h)≈ 1.64 時間
使用時間については、上記のように計算することが可能です。
そのほかにもご自宅にある扇風機など、自分で実際に計算してみてはいかがでしょうか?
容量によっては「えっ、たったこれだけしか動かせないの!?」なんて発見もあるかもしれません。
このように、バッテリー容量[Wh]というのは、大きい分だけ「長い時間使えるよ!」という目安になります。
ポータブル電源の容量を選ぶ上で参考にしてみてください。
2. サイズと重量
この「サイズ」と「重量」も比例しており、小さいほど軽く、大きいほど重い作りになっています。
値段も小さいものほど安く、大きくなるにつれて値段が上がっていきます。
このポータブル電源のサイズ感はざっくりと次の3つに分けることができます。
※僕が勝手に決めているだけです
小型:200~700Wh程度のもの
主に小型家電(スマホ、ライト、オーディオ)などに使われる。
中型:700~1300Wh程度のもの
一般的な家電はほとんど動かせる。(電子レンジ、エアコン、ドライヤー)
大型:1300Wh以上のもの
多くが拡張可能で電気が来ていない小屋などの主電源として使われる。
小型
値段は5万円前後で購入できます。
重量は3kg~7kg程度のものが多いです。
小型のものは重量が軽くて持ち運びがしやすい反面、容量[Wh]が小さく定格出力[W]も小さいものが多いです。仮に定格出力の値が大きくても容量自体が小さいので、肝心な稼働時間がほとんど確保できないという欠点があります。
小さいものは防災観点で見ると、残念ながら少し使い勝手が悪いです。
防災観点で必要になるのは「被災後の生活をいかに楽に出来るか」という点です。
例えば、炊飯器などの調理器具、電気ケトルなどの水を沸かすもの、ポータブル冷蔵庫などの被災生活を楽にしてくれるアイテムは消費電力がそこそこ大きく、小さい容量のものでは「1日使ったら終わり(残量ゼロ)」などということになりかねません。
かといってスマホの為だけにポータブル電源が必要かと言うとそうでもありません、大きめのモバイルバッテリーを購入するだけでも十分に足りてしまうこともあるでしょう。
「小型のポータブル電源を買って何がしたいのか?」
ここを自分がしっかりとイメージ出来ないと、被災時に使いこなすのは難しいと思います。
もし小さくても被災後にしっかりと使いこなしたいのであれば、次のアイテムに使うことをオススメします。
・充電式ライトの充電
・充電式ラジオの充電
・スマホの充電
・短時間の電気毛布
・IQOS(電子タバコ)などの趣向品の充電
こういった小型アイテムの使用に限定し、通信手段や身の安全を優先的に確保することは可能です。
「安いからこれにしよ!」なんて考えは絶対にしないようにお願いします。
中型
値段は10万円前後で購入できます。
ここから重量が10kgオーバーとなり結構な重さとなります。短距離の運搬なら問題ありませんが、避難所に持っていくとなると結構な重労働になってきます。
一番汎用性の高いタイプになり、家の中にある家電のほとんどは動かすことができるようになるのがこの中型です。
実はこの大きさになると、どこのメーカーもスペックは大きくは変わりません。
1000Whを超えたあたりでようやく防災での使い道が見えてきます。
IHクッキングヒーターで料理を作る、ポータブル冷蔵庫を動かして食品を保存する、寝る間だけ電気毛布を使う、卓上ライトをつける、パソコンを使うなど日常に近い環境を作ることが可能になります。
ただし容量はいずれ尽きるので、ここに追加で持っておきたいのが「ソーラーパネル」です。
ソーラーパネルで充電しながらポータブル電源を動かすことで、1日2日の話ではなく中長期に渡って安定した電力を確保できます。
もし防災のためにポータブル電源を購入しようと思っている方は、この「中型」以上のポータブル電源を買うようにすると良いでしょう。
大型
ここからは20万円を超えるものが出てきます。
重量も手で持って運ぶのは困難なため、運搬用のローラーが付いている物もあります。
これらの多くは小屋などの電気が通っていない設備の主電源として配置されることが多いです。
また拡張機能を持ったものが多く、別売りの拡張バッテリーを接続することで本体の容量を2倍にも3倍にも引き上げることが可能になります。
エアコンを動かしながら別の家電を動かすことが出来るなど、大容量なゆえ細かく気にすることがありません。
一見メリットしかないように思えますが、ここで考えないといけないのは「移動が難しい」ということです。
自宅がなんの被害もない(停電だけ)というのであれば特に気にしなくてもいいですが、浸水被害や津波の影響のある場所ではポータブル電源の退避が難しく「水没して使えなくなった」なんてこともあり得ない話ではないでしょう。
また、マンションなどでは停電によってエレベーターが使えなくなるため、部屋から持ち出すことは困難になります。
戸建てならまだしも、マンション住まいの方やソーラーパネルでまともに充電出来ない環境の方にはオススメ出来ないものになります。大容量のものはソーラーパネルありきのものだと心得て下さい。
3. ブランド
ポータブル電源には有名なブランドを選択することをオススメします。
・BLUETTI
・EcoFlow
・Jackery
・Anker など
こんなところでしょうか??
サポート対応がしっかりしている、安心安全なのはもちろんですが、一つ重大なことがあります。
それは、処分するときに引き取ってもらえないリスクがあるからです。
ポータブル電源を処分する際、多くのメーカーは「自社の製品は回収いたします」というでしょう。
ではもし有名でないメーカのポータブル電源を購入したとして、数年後その会社が潰れていたらどうでしょうか?
処分したいけど、このポータブル電源どこも引き取ってもらえない、、、なんてことが起こるかもしれません。
4. 機能
LEDライトを搭載していたり、Bluetoothでスマホでモニター出来たりと各社個性を出しています。
ポータブル電源としての基本機能(パススルー/EPS)などは、どこのメーカーも同等のように見えるためこれといった違いを確認することはできません。
確認しておきたいのが、液晶の見やすさ、出力ポート(AC100V/DC12V/USBなど)の数と種類です。
これについては各社様々で、使い方によっては「コンセントの数が足りない!」なんてことも考えられます。
家族でスマホの充電を考えている人は、USBポートの数が多いほうが多いほうが使い勝手は良いかもしれませんね。
僕が選んだEcoFlowの技術
僕は数あるメーカーの中からEcoFlowを選択しました。
理由がいくつかあります。
圧倒的な充電速度 X-Stream充電テクノロジー
これはEcoFlow独自の技術で、僕の持っているEFDELTA (1260Wh)は80%充電を1時間で、満充電まで2時間で済むという圧倒的な充電スピードを誇ります。
他社の1000Wh近くのポータブル電源の充電は8時間近くかかるものもあるため、この差は歴然と言えます。
※最新のものではEcoFlowに近い充電技術を開発しているかもしれませんが、、、
限界突破!X-BOOST機能
これは定格出力をオーバーしても一定時間は家電が使えるという謎の機能。
実は家電側の出力を抑えることで無理やり駆動させるというドーピング機能で、意図的に使いこなすことは難しいです。
要するに、多少定格出力をオーバーした状態でも電気ケトルが使えます。
しかし電気ケトルは本来の770Wで出力できないため、水を温める時間は本来の時間よりも伸びてしまうが、電気ケトルは問題なく使える。ということです。
炊飯器などの家電は出力が低下すると上手に炊けない可能性が出てくるので、使う際は定格出力内に収めておきましょう。
バッテリー
つい最近までは「三元系リチウムイオンバッテリー」と言われるバッテリーがポータブル電源では主流でした。
近年では「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」と呼ばれるバッテリーが使われるようになってきており、世代交代の時期と言えるでしょう。
三元系リチウム
【メリット】
エネルギー密度が高いため、小型化かつ軽量化が可能。低温でも安定した出力が可能。
【デメリット】
爆発のリスクなど、安全性に問題がある。
リン酸鉄リチウム
【メリット】
熱暴走による爆発の危険性が少なく安全、3元系に比べて3倍以上の長寿命、小型化可能。
【デメリット】
エネルギー密度が3元系に比べ低い、製造コストが高い
防災目線で考えると安全性が高いほうを選びたい気もしますね。
いずれにせよ技術革新というものは早いサイクルで訪れます、型落ちとはいえ全く使えないわけではありません。
小型化された分、リン酸鉄の方が容量が小さい傾向にあります。防災ユーザーはキャンパーほど頻繁に使うことは少ないと思うので、長寿命のメリットはそれほどないでしょう。
とりあえずはセールなどを活用しつつ、自分の予算にあったものを購入すればよいのではないでしょうか。
5. デザイン
これだけ色々書いておいて、結局最後はここで決まると思うのは僕だけではないはず。
デザインにおいてはこれのみ各社唯一全く違うものと言っても良いです。
スペックは正直どのメーカもしのぎを削っているだけあって大きくは変わりません。
なので最終的な判断材用になるのは「デザイン」、「配色」で決まるのではないでしょうか、、、
僕もポータブル電源を購入する際に、各メーカーの売りを徹底的に調べました。
でもどうでしょう、やっぱり大きくは変わらないのではないでしょうか?
最後は自分が好きになったデザイン。これに勝るものはないと思っています。
僕はスタイリッシュなEcoFlowを好きになった、ただそれだけの話なのです。
まとめ
これまで5つのポイントとして紹介してきました。
防災用途で購入する際には次のことを意識して、具体的な被災生活がイメージできることが望ましいと思います。
1,何を動かしたいのか(災害時に動かしたい家電は何か)
⇒定格出力を確認する
2,どこで使いたいのか(自宅、避難所、車)
⇒持ち運べるか(重さ)を確認する
3,好きなデザインか
⇒自分の好きなものにはお金を出せる
物によっては非常に高い買い物になります。無駄に大きいものを買っても持て余すだけなので、自分の使い方、イメージに合ったものを選ぶようにしましょう。
コメント
コメント一覧 (4件)
初めまして。
最近、地震が多く起きており、わが家も防災を意識したところ、こちらのブログを知り、ヤサオさんの記事で勉強させていただいております。今、ポータブル電源について、こちらの記事を見ながら、anker 757の電源とソーラーパネルの購入を考えています。購入しようと思った理由ですが、我が家では、ペットでデグーという小動物を3匹買っており、夏場に被災してしまうと、25度以上の室温だと熱中症になってしまうため、冷蔵庫(クルマで使えるポータブル冷蔵)を電源で動かして、保冷剤を作って対応しようと思っています。また、家で電源を使うことも想定していますが、基本的には、外に逃げて、クルマで過ごすことになった時用でポータブル電源を用意したいと思っております。こちらの記事では、Ecoflowを購入されていますが、もし差し支えなければ、ヤサオさんがankerのポータブル電源を選択しなかった理由を教えていただけないでしょうか?ヤサオさんの意見も踏まえて、購入の検討が出来ると大変助かります、どうぞよろしくお願いいたしますm(__)m
コメントありがとうございます!anker757について調べました。
1.まずなぜ最初にAnker(メーカー)を選ばなかったのかというと、Ankerのポータブル電源は家庭用電源100Vと異なり、110Vで出力しています。
これはつなげた先の電子機器が110Vを許容しているかどうかで決まります。要するに動かない家電がある可能性があるということです。
ただし、よほどの精密機器で無い限り動きそうなのであくまで「可能性」です。
2.僕がEcoFlow EFDELTAを購入した時にはAnker757はまだ販売していませんでした。確かに今のAnker757は魅力的な商品です。
ただしリン酸鉄で20kgはめちゃんこ重いので考え直さないといけません。
3.今の僕ならAnker757を買うか。
答えは「多分 NO」です。
まず、僕の考えでは南海トラフ震度7範囲の地域に住む人は、電気の復旧は従来と比べて確実に遅いと想定しています。
そうなると一つのポタ電を使いまわすことになるのですが、この757は「拡張機能」がなさそうです。
であれば本格的に世紀末に備えるのであれば、僕ならDELTA2+拡張バッテリー+ソーラーパネル計300W以上を備えます。(僕に金があればの話ですが)
これはペットだけの範囲に留まらず、人間+ペットが十分に日常生活を維持できる装備になるはずです。
そうなると頻繁に充電作業を絡めるとなると、軽いDELTA2を僕は選びます。
以上が僕がAnkerを選ばなかった理由と今でもAnkerは選ばない理由です。
ヤサオさん、お返事ありがとうございます。とても参考になりました。確かに20kgは、持ち運び辛いなと思っていたところでした。また、世紀末への備えについて、商品を紹介していただき、ありがとうございます。もう一度、ヤサオさんが紹介してくださった商品をみて検討します。
こんばんは。お忙しいところ度々すみません。Instagramの方に、またヤサオさんに相談したいことがあり、コメントさせていただいております。お忙しい中申し訳ないのですが、ご助言いただけますと幸いです。