備蓄水168Lも置けない!「収納ゼロ」でも可能な【自作・浄水システム】完全マニュアル

自作・浄水システム完全マニュアルのサムネイル画像。168Lの備蓄水問題を解決する、ボトルと携帯型浄水器を使った実践的な浄水システム一式
所長

防災用に水を何本買いましたか? 2リットルの箱を2〜3個? …正直に言います。それでは『瞬殺』されます。

もし今、南海トラフ巨大地震が起きて水道が止まったら。 復旧までにかかる期間は、最悪の場合「数週間」と言われています。

内閣府が推奨する備蓄量は「最低3日分(できれば1週間分)」ですが、これはあくまで「支援が来るまでのつなぎ」です。 本当に家族を守り抜くなら、最低でも2週間分の水が必要です。

ここで、絶望的な数字をお伝えしなければなりません。 4人家族が2週間生き延びるために必要な水の量は、なんと【168リットル】です。

168Lの現実
  • 2リットルのペットボトル換算で「84本」
  • 重さにして「約170kg」

これを今の家に置けますか? 正直、普通の家庭には到底無理です。 我が家も3人の娘がいますが、学校用品や日用品の収納場所を作るだけでも精一杯。これ以上、水だけのために作るスペースなんて1ミリもありません。

多くの防災本は「頑張って備蓄しろ」と言いますが、私は物理的に無理なものは無理だと断言します。

だからこそ、思考を切り替えました。 「場所がないなら、水を『貯める』のではなく『作る』技術を持てばいい」と。

この記事では、現代サバイバル研究所が検証を重ねてたどり着いた、 風呂水や雨水を「日常のミネラルウォーター」レベルまで引き上げる【3段構えの浄水システム】 を、失敗談も交えながら完全解説します。

もう、収納場所で悩むのは終わりにしましょう。

目次

【警告】「高評価」「監修済み」なら安心?  その“選び方”は正解か。

Amazonや楽天で浄水器を選ぶとき、こんな「安心材料」だけでカートに入れていませんか?

  • 「Amazonランキング1位!」
  • 「防災士監修! 推奨商品」
  • 「安心の日本ブランド(日本企業販売)」

もちろん、これらは商品を選ぶ一つの目安にはなります。 しかし、「これだけ」を信じて、肝心のスペック(性能)を確認しないのは非常に危険です。

フィルターの性能が浄水器の性能と言っても過言ではありません。

この「数値の違い」さえ理解すれば、もう迷わなくなります。
まずは、その決定的な違いを見ていきましょう。

物理的な限界(ウイルスは通す)

粒子サイズの比較図解:髪の毛(70μm)や細菌(バクテリア)に対し、ウイルス(0.1μm以下)がいかに微細かを示す比較図。一般的な0.1μmの浄水フィルターでは、細菌は防げてもウイルスが通過してしまう物理的な根拠。
【図解】ウイルスの小ささは「桁違い」です。一般的な浄水器(0.1μm)の網目では、細菌(バクテリア)は止まっても、さらに極小のウイルスは素通りしてしまうことが分かります。

一般的な携帯浄水器(Amazonで安く売っているものや、ソーヤーミニなど)のフィルター穴のサイズは「0.1μm(マイクロメートル)」が多いです。 これで「大腸菌」などの細菌は防げますが、さらに小さな「ノロウイルス」などのウイルスは素通りしてしまいます。

お腹を壊したら、トイレが流せない災害時には命取りになります。

心理的な限界(臭いは消えない)

仮に菌を取り除けたとしても、ものによっては「泥臭さ」や「カビ臭さ」は残ります。 「理論上は安全な水」でも、強烈な臭いがする水を、あなたの家族(特に子供)は飲んでくれますか?

脳は「臭い=毒」と判断し、本能的に飲むのを拒絶します。 だからこそ、「ウイルス除去」と「臭いの完全除去(日常の味への復元)」までのセットが必要なのです。

研究所推奨「3段構え」浄水メソッド

研究所では、以下の3ステップで水を処理します。

STEP
STEP 1:物理濾過(0.01μmの壁)

高性能フィルターで、物理的に不純物を遮断する。

STEP
STEP 2:化学殺菌(ウイルスの不活化)

薬品を使い、すり抜けたウイルスを完全に死滅させる。

STEP
STEP 3:味覚調整(日常への復元)

活性炭フィルターを通し、カルキ臭と泥臭さを消す。

実践!具体的な手順とアイテム

まずは、今回の作戦で使用する「3つの神器」と「身代わりアイテム」を手元に用意してください。

【用意するものリスト】

  • メインの浄水器: 0.01μmのフィルター(Greeshowなど)
  • 殺菌剤: ピューラックス(次亜塩素酸ナトリウム)
  • 仕上げ: ブリタ(ポット型浄水器)
  • 【重要】プレろ過用: コーヒーフィルター、マスク、キッチンペーパーなど

具体的な手順に入る前に、絶対に知っておいてほしい「現場の知恵」があります。 庭の土を混ぜたような泥水を、いきなり高性能な0.01μmフィルターにぶっ込んではいけません。

一瞬で目詰まりして、数千円するフィルターがその場で「ゴミ」になります。

そこで、私は必ず「STEP 0:プレろ過」を挟みます。 高価な浄水器を守るために、身近にある「安価なもの」を身代わりにして使い潰すのです。

【代用品】コーヒーフィルターがなくても大丈夫

もちろんコーヒーフィルターが優秀ですが、サバイバルの現場では手元にあるものを応用しましょう。

  • キッチンペーパー: 2〜3枚重ねれば、微細な砂まで強力にキャッチします。
  • 不織布マスク: 実は濾過性能が極めて高く、プレろ過の「最強の代用品」です。
  • 手ぬぐい・ハンカチ: 目の細かい布を数回折りたたむだけでも、大きなゴミは防げます。

ただし、現場のリアルをお伝えすると、これらの代用品はコーヒーフィルターに比べて圧倒的に「時間と手間」がかかります 目が細かすぎるため水がなかなか落ちず、焦って力を入れると横から汚水が漏れ出すこともあります。緊急時の代用としては優秀ですが、平時の備えとしては、100円で買える「コーヒーフィルター」を必ず備蓄しておくことを強く推奨します。

これらを使って、まずは「目に見えるゴミ」を徹底的に取り除いてください。 このひと手間だけで、次に使う高性能浄水器の負荷が劇的に減り、フィルターの寿命を数倍に延ばすことができます。

プレろ過を終えたがまだ濁りが残っている水

⚠️ 注意:この段階では「透明」になっても飲めません プレろ過は、あくまで「砂」や「ゴミ」を取って浄水器を延命させるためのものです。 細菌やウイルスは1ミリも取れていません。見た目が綺麗になっても、この段階の水は絶対に飲まないでください。

STEP 1|0.01μmのフィルターを通す

まずは泥やゴミ、細菌を取り除きます。 ここで重要なのは、スペック表を見て「0.01μm(またはウイルス除去対応)」と書かれているか確認することです。

なぜ最初に濾過が必要なのか? それは、次のステップで使う「塩素(殺菌剤)」の効果を最大化するためです。 塩素は、水の中にゴミや有機物が多いと、それらに反応して消費されてしまい、肝心のウイルスまで届かなくなります。

だからこそ、まずは物理濾過で水を「クリアな状態」にする。これが鉄則です。

0.01μmフィルターを通して透明になった水が生成される様子

STEP 2|ピューラックスで「化学殺菌」する

次に、フィルターをすり抜ける可能性のあるウイルスを、薬品で叩きます。 たとえSTEP 1で高性能な「0.01μm」を使っていても、万が一の不具合やパッキンのズレがあればウイルスは通ります。

「フィルター性能に関わらず、最後は薬品でトドメを刺す」 これが研究所の安全基準です。

使用するのは「次亜塩素酸ナトリウム」。 商品名で言えば『ピューラックス(食品添加物グレード)が最強です。

【警告】キッチン用洗剤はNG!

同じ「ハイター」でも、キッチン用や衣類用には「界面活性剤(洗剤成分)」が入っています。飲むと泡を吹きます。必ず成分表を見て「次亜塩素酸ナトリウム」だけのもの、あるいは薬局で『ピューラックス』を買ってください。

スポイトを使って慎重にピューラックス(次亜塩素酸ナトリウム)を滴下する様子
水の量ピューラックス滴下数
500ml1滴
2L (ペットボトル)4滴
5L10滴
10L20滴

混ぜた後、最低30分放置してください。 30分後に「プールの臭い(塩素臭)」がしていれば、殺菌完了の合図です。 もし臭いがしなければ、菌が多すぎて薬が負けている証拠です。追加で1滴入れてください。

※薬品の取り扱いは危険を伴うため、分量を必ず守り自己責任で行ってください

殺菌反応を完了させるために30分間タイマーで時間を計測中
【補足】煮沸とトリハロメタンの真実

疑問1:「煮沸」じゃダメなのか?

結論から言えば、煮沸でも菌・ウイルスは死滅します ただし、以下の理由から研究所では「塩素」を推奨しています。

  1. 燃料の浪費: 確実に殺菌するには、沸騰してから1分〜5分ほど煮続けなければなりません。貴重なガス缶を大量に消費します。
  2. 時間がかかる: 沸かす時間だけでなく、冷めるのを待つ時間がタイムロスになります。
  3. 【絶対禁止】塩素後の煮沸: ここが重要です。「念には念を」と、ピューラックスを入れた後に煮沸するのは絶対にやめてください。熱で塩素成分が飛んでしまい、殺菌効果がゼロになります。やるなら「どちらか片方」です。

疑問2:トリハロメタン(発がん性)は大丈夫?

「塩素を入れると、発がん性のあるトリハロメタンが発生するのでは?」 この質問は必ず来ます。

研究所の回答は「気にするな」です。

リスクの取り方を間違えてはいけません。 トリハロメタンの発がん性は、毎日飲み続けて「数十年後に影響が出るかも?」というレベルの話です。 対して、川の水のウイルス(赤痢やコレラ、ノロなど)は、飲めば数時間〜数日で命に関わる「即死リスク」です。

「30年後の癌」を恐れて、「明日の感染症」で死ぬ。 これほど愚かなことはありません。 災害時は、目の前の生存率を上げる選択をしてください。

「それでもどうしても気になる…という繊細なあなた。安心してください。次の『STEP 3』でその問題も解決します。

STEP 3|ブリタで「日常」を取り戻す

ピューラックスで殺菌した後の水をブリタ(ポット型浄水器)で仕上げ濾過し、透明な飲料水としてワイングラスに注いでいる様子
【STEP 3:仕上げ】塩素の役割はここまで。最後にブリタを通すことで、プールの臭いや不純物が完全に吸着され、まろやかな「日常の水」へと生まれ変わります。

殺菌は完了しましたが、正直このままでは『プールの水』です。 塩素臭いし、さっき話題に出たトリハロメタンなどの不純物も気になりますよね。

そこで登場するのが、家庭用浄水ポットの王道『ブリタ』です。

殺菌が終わった水をブリタに通すだけ。 ブリタに内蔵された「活性炭フィルター」が優秀な仕事をしてくれます。 残留塩素や嫌な臭いはもちろん、気になっていたトリハロメタンや有機物もしっかり吸着・除去してくれます。

これで、水は数値上の「安全」だけでなく、心から飲める「安心」な水に変わります。

何も知らない子供たちが、ゴクゴク飲めるレベルまで持っていく。 これが研究所のゴールです。

泥水から3ステップの自作浄水システムを経て、ワイングラスに注げるほど透明で無臭な飲料水になった様子
【完成】あの泥水がここまでクリアに。塩素臭も完全に消え、レストランで出てくるお水と全く見分けがつきません。

塩素の臭いも消え、これなら何も言わずに出しても普段の水として飲んでくれそう。美味しく飲めました!

まとめ|生存のための「3つの鉄則」

最後に、この浄水システムを運用する上で、絶対に守ってほしい「3つの鉄則」をお伝えして終わります。

鉄則1:「作った水」は24時間で使い切る

この方法で作った水は安全ですが、市販の水と違って保存料が入っていません。 時間が経てば、空気中の菌が入って繁殖を始めます。

作った水は、その日のうちに使い切る これを徹底してください。

鉄則2:市販のペットボトルは「最後の砦」

家に備蓄してある「2Lのペットボトル」と、今回作る「浄水」は明確に使い分けてください。

市販のペットボトルは、封を開けなければ腐らない「無菌の聖水」です。 これを手洗いや食器洗いなどの「生活用水」に使うのは、自殺行為だと思ってください。

  • 市販のペットボトル → 最後の最後まで取っておく「飲み水(聖域)」。
  • 自作した浄水(風呂水・雨水) → 日常の飲み水、および生活用水としてガシガシ使う。

この優先順位を間違えると、本当に水が必要な緊急時に詰みます。

鉄則3:水が尽きたら「逃げろ」

最後に、最も残酷でリアルな現実を伝えます。

もし、風呂の水も使い切り、雨も降らず、近くに川もない場合。 そして、虎の子のペットボトル備蓄も底をつきそうな場合。

その時は、迷わず「移動(脱出)」してください。

「自宅避難」は、水と食料があることが大前提です。 水がない場所に留まることは、緩やかな死を意味します。

プライドも家も捨てて、給水車が来ている避難所や、井戸のある場所へ動く。 「水尽きれば、地獄」です。 そうなる前に、この浄水システムで時間を稼ぎ、生き延びるルートを確保してください。

  1. 高性能フィルターで濾過(0.01μmの壁)
  2. ピューラックスで殺菌(ウイルスの息の根を止める)
  3. ブリタで味を整える(日常への復帰)

この3つの道具と知識があれば、あなたの家の「残り湯」は、家族の命を繋ぐ希望に変わります。 場所を取らない最強の備蓄、今すぐ始めてください。

自作・浄水システム完全マニュアルのサムネイル画像。168Lの備蓄水問題を解決する、ボトルと携帯型浄水器を使った実践的な浄水システム一式

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